民間企業の障害者実雇用率は過去最高の2.41%に上昇

 2024年4月より民間企業の障害者に係る法定雇用率が2.3%から2.5%に引上げられ、従業員数40.0人以上規模の企業において障害者を1人以上雇用する義務が課せられています。法定雇用率の引き上げに比例し、障害者雇用率も上昇が続いていますが、今回は2024年12月に厚生労働省から公表された「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」(以下、「集計結果」という)の中から、最新の障害者雇用状況について確認しましょう。

[1]障害者雇用数と種別

 障害者の雇用義務のある40.0人以上規模の民間企業で雇用されている障害者の数は677,461.5人で、前年より35,283.5人増加し、21年連続で過去最高を更新しました。障害種別にみると、以下のようにいずれの種別でも増加していますが、特に精神障害者の雇用数が大幅に伸び、知的障害者に迫っています。

  • 身体障害者 368,949.0人(対前年比2.4%増)
  • 知的障害者 157,795.5人(同4.0%増)
  • 精神障害者 150,717.0人(同15.7%増)

[2]実雇用率

 法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%と、前年の50.1%より4.1%低下しました。実雇用率を企業規模別にみると、今回から新たに報告対象となった40.0~43.5人未満の規模が33.3%に止まり、全体の達成率を引き下げています。なお、他の規模区分を見ると、43.5~100人未満については45.4%(前年47.2%)、100~300人未満が49.1%(同53.3%)、300~500人未満が41.1%(同46.9%)、500~1,000人未満が44.3%(同52.4%)、1,000人以上が54.7%(同67.5%)となっており、法定雇用率の引き上げもあり、すべての規模で実雇用率が低下しています。

[3]障害者雇用率達成の指導状況

 実雇用率が低い企業に対しては、障害者雇用率の達成に向けたハローワークによる指導が、以下の流れで行われます。※図はクリックで拡大されます。

 この指導について、2023年度の実績は以下のとおりです。

  • 障害者雇入れ計画作成命令の発出 219社
  • 障害者雇入れ計画の適正実施勧告 63社
  • 特別指導の実施 33社

 また、障害者雇入れ計画を実施中の企業は、502社となっています。

 2025年4月からは一部の業種のみが対象ですが、除外率の引下げが行われ、2026年7月からは法定雇用率が2.7%に引上げられます。そのため、障害者雇用人数が不足している企業や今後不足することが予想される企業においては、法定雇用率の達成に向け、継続的に採用と定着の取り組みを進める必要があります。
■参考リンク
厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果
厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。