厚労省審議会から示された最低賃金額改定「全国一律50円」が目安
最低賃金については、政府の方針として「2030年代半ばまでに1,500円となることを目指す」と示されており、今年の春闘が歴史に残る賃上げとなったことを踏まえると、大幅な引上げが想定されていました。そのような中、先日、厚生労働省中央最低賃金審議会から、2024年度地域別最低賃金額改定の目安が公開されました。
[1]2024年度地域別最低賃金額改定の目安
厚生労働省中央最低賃金審議会では都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をA(6都府県)・B(28道府県)・C(13県)の3つのランクに分けて、引上げ額の目安を提示していますが、今年度はすべてのランクで50円となりました。
仮に、目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,054円となります。この場合、全国加重平均の上昇額は、1978年度に目安制度が始まって以降で最高額の50円(昨年度は43円)となります。また、引上げ率に換算すると5.0%(昨年度は4.5%)となっており、概ね今年の春闘における賃上げ率に相当します。なお、2015年度以降の地域別最低賃金の全国加重平均額と引上げ率の推移は下表のとおりです。
※表はクリックで拡大されます。
[2]最低賃金が決定するまでの流れ
最低賃金は、この後、中央最低賃金審議会から示された目安を参考にしながら、各都道府県の地方最低賃金審議会で地域の実情を踏まえて調査審議が行われ、答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長が決定することとなります。
このように正式な最低賃金額は、地方最低賃金審議会を経ての決定になりますが、大幅な引上げになることは確実です。また都市部と地方の最低賃金の格差を縮小するという方針が示されていますので、最低賃金が低い県では、目安を超える引上げになることもあり得ます。10月には新しい最低賃金が適用されることになりますので、会社としては、その動向を注視しながら、最低賃金額を下回る従業員がいないか、確認の上、対策を検討しておきたいところです。
■参考リンク
厚生労働省「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」
内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。